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パリ指圧紀行【後編】
本記事の英訳版 "A Travelogue, Shiatsu in Paris (part 2 of 2)" はこちら
本記事の仏訳版 "Journal de voyage, Shiatsu à Paris (partie 2/2)" はこちら
そして講習!
講習は2組に2日ずつ、計4日行います。1組26名。今回の方針は、押して押して押しまくる、でした。先輩から頂いたアドバイスを参考に、小規模な講習会だからこそできること、教科書からは伝わらないことをと考えました。楽な姿勢で、効率的な動きで、優しい圧を生み出し、施術すると独特のリズム感が生まれる、そんな浪越指圧の良さを伝えたい。浪越指圧は基本ができていれば、様々な視点で患者さんにアプローチできます。
講習が始まると、しっかり圧を入れている生徒が多いことに気づきました。押させてもらうと、圧が違うとわかってくれました。姿勢、動きや手指の使い方を修正して、自分の圧が変わるのも感じてくれたようです。フランスの先生方が素晴らしい指導をなさっているのがわかります。しかし、体にしみ込んだ動きや姿勢がありますので、何度も調整しました。
午前・午後で6時間の講習後はヘトヘトになります。休憩もとらずに3時間、立ったり座ったり、押したり直したり、生徒さん達の集中力に刺激を受けました。誰も休もうとしないのです。好意的に受け入れて頂けたと感じました。
今回出会えたフランスの指圧師51名の中には経験を積んだ指圧師がおりました。初めて浪越指圧の講師を招くということで、経験豊富な者に声をかけてくれたのかもしれません。筋や骨の用語も理解していました。それだけに浪越指圧との違いもよく感じてくれたのではないかと思います。初学者の生徒さんとの練習もまた楽しませてもらいました。
通訳の直美さん!
講習は頼れる通訳がいるとやり易い。通訳のフランス在住の後藤直美さんはフランス歴30年、黄色や白いパンツを履きこなすお洒落な方です。気さくで話しやすい癒し系通訳でした。写真を見ると、私より直美さんの方が先生らしく見えます。フランス語版の浪越指圧教科書を読み込み、準備されていました。専門用語だけでなく、浪越指圧の手順や姿勢が頭に入っています。かなり時間がかかったはずです。大した方です。また、信頼できるプロに依頼するところにミシェル先生の誠意を感じました。
57期小泉先生!
実は今回のパリ指圧講習は57期生小泉浩記先生と二人三脚の日々でした。在学中、英会話クラブで私に英語を教えてくれていた彼は、私の一人渡仏のサポートを申し出てくれました。エアチケットもホテルも自費で手配して来てくれたのです。講習の方針も相談しながら固めました。私がデモをしている間に描いてくれる図がとても見やすい。英語ができる生徒さんから多くの質問を受けていました。
ミシェル先生は、技術はもちろん、「母ごころ」という精神性の高さも含めて浪越指圧を高く評価してくれています。小泉先生は「手伝いますよ!」という気持ちで渡仏してくれました。その気持ちと行動力、彼の講習での働きに、ミシェル先生も舌を巻いていました。飛行機代を負担させてほしいと言われたほどです。私と気が合うこともあり、いい呼吸で講習が進みました。二人は素晴らしいチームだと言って頂きましたが、実際は彼の働きが大きかったのです。
最後に!
今回の講習は、ミシェル先生の熱意があって実現したものです。何度も来校された誠実さに心を打たれ、快諾された理事長もさすが眼識のあるお方です。良いご縁を頂きました。講習後、ミシェル先生はジャケットに日本指圧専門学校ピンバッジを付けてテレビ出演されました。我々だけがわかる友好の証です。
芸術の都パリに日本の芸術である浪越指圧を! 一度、指圧で繋がってしまうと、こちらにも欲が出てきます。もっと上手になって欲しい、もっと深く学んで欲しい、もっと多くの人に知って欲しいと。パリ観光で疲れた日本人が指圧を受けたら、「これって浪越さんだよね!?」なんて気がついたりしたら楽しいなと想像して楽しんでいます。ミシェル先生、また会いましょうね! Merci à Paris !
(教務:渡辺和雄)